77人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
「経験が、ないんです」
顔を上げて美緒を見た。
美緒は全てを悟ったように「あ、それでか」と言った。
「手、出して」
瑞希が手を出すと美緒は、そっとそれを握りしめた。
瑞希は、胸がキュッとなる。
「例えば、好きな人とだったらこうやっててもドキドキするし、幸せじゃん?」
「あ、うん」
「だからそれでいいんだよ。何かしなくちゃいけない使命がある訳じゃない、特に男同士はね」
と声を潜めて言った。
「やっぱ行く、先生の部屋」
「だーかーらー」
「あ、美緒の部屋」
「よろしい」
美緒は笑って、二人で立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!