79人が本棚に入れています
本棚に追加
元カレ
美緒と付き合い出して、三ヶ月ほど経った頃。
仕事を終えて工場を出ると、瑞希と変わらないくらい大柄の男が立っていた。
「お前が香原瑞希か?」
「え?」
いきなり知らない男にフルネームを言われ、驚いてその男をみた。
「何ですか?誰?」
「美緒と付き合ってんのか?あのクソビッチと」
男は、わざと瑞希を怒らせるような言い方をしてきた。
「アンタに関係ない」
瑞希はそう言って、足早に立ち去ろうとした。
「お前も、どうせすぐに飽きられて捨てられるよ。お前みたいなガキにアイツの相手が務まる訳がない」
その男は、しつこく言いながら付いてくる。
段々と苛立ってきた。
「いい加減にしろよ!」
むっとして睨みつけた。
その男も睨み返してくる。
「お前、まだ未成年だよな」
「は?それが何だよ」
「ふうん」
ニヤニヤしながら、その男はどこかに去って行った。
嫌な予感がした。
最初のコメントを投稿しよう!