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「うん。マンションの前で、ちょっと言い合いになって。胸ぐら捕まれた。
ああいうの初めて体験したよー!ケンカとかしたこと無かったしさあ!」
美緒が少し興奮気味に言うので「そんなこと言ってる場合ですか!」と瑞希は怒った。
「あ、ごめん」
「俺…しばらくここに泊まってもいいですか?心配だから…」
逢えない時に何かあったら、と思うと気が気で無かった。
「え?でも、お母さん、いいの?」
美緒は、お母さんひとりになっちゃうだろ?と心配した。
「うん、ちょっと話してみる。いい機会かも」
美緒とのことをちゃんと話そう。
いつかは話さなくてはならないことだ、と瑞希は思った。
「そっか、そうだね」
美緒は、優しく言うと「とりあえず今日は泊まっていけば?もうこんな時間だし」と壁の時計を見た。
23時を回っている。
「あ、うん。すいません、急に来て」
瑞希の中で、恋人と生徒が行ったり来たりしている。
「いいよ。不安になることってあるもんね」
美緒は、ヨシヨシと頭を撫でてくれた。
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