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それから2週間後、場面は野村たちが通う学校の職員室ーー
「おお、入学以来右肩下がりの成績だった野村がここにきて学年トップか! 逆に、これまで好成績だった長野は一気にランクダウンだ……」
期末考査の採点を終え、掲示用の成績順位表を準備する学年主任。
「しかし、最近表情も明るいし、一体野村に何があったんだ?」
「それは見えない恋の力ですよ」
彼の疑問に、野村の担任・峰原が手紙をしたためながら答えた。
「その手紙は? ラブレターみたいな色合いだな」
「長野君に宛てたラブレターよ」
「おい、生徒に恋愛感情なんて……」
「そんな感情ありませんわ。あくまでもこれは起爆剤。どんなに私たちがわかりやすく教えても、生徒にモチベーションがなければ学力は向上しないわ」
「成程、自分が誰かから愛されているという安心感や自信より強いものはないというわけか。それにしても、君は恐ろしいなぁ」
「うふふっ。どんな手段を使ってでも、1人でも多く有名大学に進学させる……この学校の方針でしょ?」
「そうだったな、流石は峰原先生だ。次は長野の件もよろしく頼んだぞ? ははは!」
ーーー
次の日の朝、下駄箱の中に無造作に入れられた手紙を見つけ、胸を高鳴らせる純粋な少年の姿があった。
〆
ーーー
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