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「本当にお前1人で来たんだな?まさか1人で俺を逮捕するのか?」
「渋井、俺はお前に自首を勧める。これ以上罪を重ねる必要はないだろう」
「自首したところでもう俺の人生は終わったも同然だ、なんせ俺は一家まるまる殺したんだからよ」
「どうしてそんな事をしたか聞かせてもらえるか?」
俺の問いに渋井は声を荒げながら動機を話した。
「あいつらが幸せそうなのが気に入らなかった。そんな幸せな家庭がある一方で俺は事業に失敗して借金まで作り!嫁も子供も俺から逃げた!そんなの許せるかよ!」
渋井の境遇には同情するが警官として犯罪者を許せない。下手な言葉かけよりこいつに思いを語らすのがいいと判断し、俺は黙って聞く。
「だからもう俺の人生は終わりなんだよ……もうな」
やはり渋井は丸井警部補の言うように正常な判断を失っているようだ。潜伏が見つかったのなら目撃者を消すという合理的な判断をせず、人質をとったというのがその証拠だ。
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