12.

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遥は久しぶりに唯に会っていた。 「それでどうなったのよぉ、八重樫さんとは」 食い気味に唯は聞いてきた。 「7月に花火に誘われまして、行ってきました」 「お!それで、それで?」 「遅くなったし、お布団2つあるからって、  泊めていただきました」 「おぉ! で?」 やや間を置いて遥は答えた。 「それだけでした」 「はぁ? 泊まったのに、何もなかったの?」 「ハイ、まぁ。  メッセージはしてるんですけど、  8月は八重樫さんが山登りに行ってて、  9月は展示会で、10月は祭りだとかで、  しばらく会ってません」 「はぁ? 何それ!  ゴメン、そんな人紹介して。  ちょっと何か言っておくわ」 「いや、いいんです、私も最近国際線が  始まって忙しくて、気にしてないんで」 「えー、ホントにぃ?  じゃあ地味に嫌がせしとくわ、  経費精算の返金、遅くするとかね」 「へへ、じゃその程度で」 二人は顔を見合わせて笑った。 「そういえば、辻さん、  東京で頑張ってるみたいね」 唯が話を変えた。 遥の同期の辻茉莉奈は、唯の同期の紹介で 東京の外資のエアラインに転職していた。 「そうなんですよね〜、  彼女の話聞いてたら、  恋にうつつ抜かしてる場合じゃない、  自分も頑張らなきゃって思います」
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