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3.
唯が予約したという、地中海料理の店に着くと、
すでに唯と男性が一人座っていた。
「遅くなりました〜」
遥が唯の隣に座ると、唯は紹介を始めた。
「こちら八重樫さん、今の会社の営業さん。
こないだ会議でお話ししたら、
同い年で大学がすごく近くで盛り上がって、
で、まぁ、こういう流れにね」
続いて唯は遥の紹介をした。
「こちら槙ちゃん。
ちなみに槙は下の名前じゃなくて、
槙原さんで、槙ちゃんね。
前の会社の後輩で、
彼女が新人の時、私がOJTに就いたから
私に逆らえなくて、ここにいます」
八重樫優は、笑いながら遥に聞いた。
「芹沢さん、怖かったん?」
「いえ、怖くはなかったデスヨ〜。
新人の頃は、色々ご指導頂きましたケド〜」
遥が、唯に上目遣いで言うと、
「え〜、それじゃあ怖い先輩みたいじゃん」
と、唯は不服そうな顔を作って笑いながら言った。
「八重樫さんは大阪の方なんですか?」
「惜しいなぁ、関西弁がみんな大阪人と違うよ。
僕は隣の兵庫やで」
「あぁ、神戸ですか?」
「いや、神戸ではないねんけどな」
すると唯がすかさずフォローした。
「あ、八重樫さん、ゴメンね。
空港で働いてると、
地理は空港ベースに変換されちゃうのね。
悪気はないんです」
優は穏やかに笑いながら言った。
「そうなんやね、職業病やね」
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