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7.
遥が優との約束に駆け込んだのは
時間ギリギリの事だった。
車の窓をノックすると、
優の人懐こい笑顔があった。
「お疲れさん、急がんでも大丈夫やったのに」
優は、とっておきの穴場という場所に
車を走らせた。
そこは、花火の上がる海岸の
湾を挟んだ反対岸だった。
海岸に集まっているのも、
近所の住民と思われる数家族のみだった。
優は楽しげに色々準備してきたものを広げた、
レジャーシートに折り畳み椅子、
ノンアルコールのビールやツマミ。
「スゴイですね!
私、手ぶらで来ちゃいましたけど…」
恐縮する遥に、優はニコニコしながら言った。
「ええねん、ええねん、
僕、山とか行くしな、
こういう準備、慣れてんねん」
次第に辺りは暗くなってきた。
「ほな、乾杯しよか」
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