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この旅は終焉を迎えたようだ
「え?あぁ、それならたぶん作れるよ。要はそれぞれの魔力を制御して扱えるようにすればいいんだろう?別にわざわざ自分の体に溜めるなんて危険な事しなくても貯蔵庫的な物を作ってあーしてこーしてこうすれば……。よし、じゃあその聖女がいるっていう学園にボクを連れていってよ」
錬金術師さんから「この人は規格外だから」と教えられて私の事情を全て話すことにした。ループや賢者については信じてもらえないかも。と思ったのだが、なぜか大爆笑しながら「君、サイコーだね!」と大喜びしだし「もちろん信じるよ。弟子が迷惑かけたようだし、是非協力させてもらうよ。ボクは巻き込まれるのは嫌いだけど、巻き込まれに行くのは別腹さ」と、とにかく楽しそうだった。そして最終的に雷の耐性をつけたくて錬金術師を探していた事を話すと、「うーん、そうだねぇ……」と指で頬をグリグリと押しながらブツブツいいだしたかと思ったら急にピン!と指を立てて先程の言葉を口にしたのだ。
「学園ですか?でも……」
私は思わず戸惑ってしまう。臨みのものを作ってますが貰えるかもしれないと希望を見たものの、今は“押して駄目なら引いてみろ”作戦の為に殿下から離れるべく旅に出ているのだ。そして出来れば先に雷の耐性を手に入れたいとも思う。この作戦か上手く行けば学園に戻ってすぐに殿下と婚約からの婚約破棄となり断罪劇を迎える予定だからだ。ここまで頑張ったのに結局雷に撃たれて死んでしまったら残念過ぎる。
言葉に詰まる私にユーキさんは肩を竦めた。
「だって君、まずはその王子と婚約したいんだろう?そのなんとかって作戦が上手く行ってるのかどうかを確認しなくていいのかい?ボクはこの世界の貴族の事は詳しくは知らないけど、婚約してからの婚約破棄がどれだけ大変かは知ってるつもりだよ。特に王家が関わるとね。どのみち婚約したらそんなすぐにはどうこうならないさ。それに、君が望む物を作るための材料がその学園にあるんだから行くしかないだろう?」
「えっ!?」
「またこのヒトは……。なんでその材料がそんな所にあるってわかるんだよ?やっぱり規格外だ」
私が驚き、錬金術師さんがため息をつくと、ユーキさんはニヤッと笑いながら重そうな眼鏡を指で押し上げた。
「フッフフフ……。まぁ、ボクに任せなって!」
頼もしいような、不安なような……。
腰に手を当てて軽快に笑うユーキさんの姿に複雑な思いを抱きつつ、私は学園に戻ることになった。
というか、ユーキさんって男の人?いや、やっぱり女の人……?とにかく謎に包まれた人なのは確かである。
それにしても、旅も終わりかぁ。殿下の事は気になりつつも旅が終わるのは少しだけ寂しいかも。そんな感情を隠しながら私はアンバーを抱き締めたのだった。
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