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「……どういうこと?」
「那津さんをおとすのが容易いんじゃなくて、どうしようもないダメ男を捨てて、新しい恋を始めるのが容易いってこと」
そして那津の手を取り口づける。その瞬間那津の胸が高鳴り、体の奥がキュッと熱くなる。上目遣いで見上げた周吾の顔を直視できなかった。
「まだ俺のこと信用出来ない?」
「……だって……まだ出会って三日だよ? そんな簡単に恋が始まるのか不安なんだもん….」
「でも俺のこと、意識はしてる?」
「……内緒」
すると周吾は苦笑いをしながら那津の手を離し、両手を上に上げた。
「わかった。じゃあ俺からは何もしない」
「えっ……」
「那津さんが俺を求めてくれるまでは何もしない。その代わり俺のスイッチが入ったらもう……離すつもりはないから覚悟してよ」
彼はじっと那津の目を見つめ、逸らそうとしない。その目にはいつもと変わらない優しさがありながら、意志の強さも感じる。
それって……私次第でどういう状況にもなれるということ?
那津は周吾の手を見る。まだ出会って三日。こんな気持ちになるなんておかしい……それでもこの手を求めたくなる。私の手を引いて、優しく触れてほしい。
あの人よりも、瀧本さんに身を任せたいと思っている私がいるの。
もし瀧本さんにとって遊びでもいいじゃない。だって私がここにいるのは一週間。今だけでもいいから、彼に身も心も愛されたい……。
那津の心臓は早鐘のように打ち続けている。息も苦しくなる。頬も熱くなってきた。
ゆっくりと周吾に近寄り、那津の方から唇を重ねた。その瞬間、周吾の腕に頭と体を抱き寄せられたかと思うと、勢いに任せたままキスをされる。
そのままベッドに押し倒され、広げられた足の間に周吾が身を滑らせる。
唇が離れた頃には、二人とも息も絶え絶えになっていた。周吾はニヤッと笑うと、那津の唇を舌でなぞる。
「俺のスイッチを入れたのは那津さんだからね……もう止められないよ」
那津は返事の代わりに周吾の首に腕を回してキスをした。
貪るようなキスを繰り返しながら、那津は身も心も溶けていくのを感じる。
あっという間に服を脱がされ、体中に彼の舌が這っていくと、もう何も考えられなかった。
a piece of cake……これが恋かどうかはわからないけど、周吾くんのおかけであの人のことを吹っ切れるのは早そうだった。
「愛してるよ……那津さん……。今日は帰さないから」
キスをしながら、周吾が那津の中をゆっくりと、何度も貫いていく。那津は仰け反りながら、体が大きく震える。
果てても果てても、周吾は那津へ新たな快感を刻みつけていく。どうやってもその快楽の波に逆らうことは出来なかった。
やることをやってしまえば、明日の朝にはもうお別れかもしれない……。でも今は、彼が私を欲しくてたまらないという姿に酔っていたい。私の中で果てる彼を見ていたい……そしてそんな彼を私も求め続けたいから……。
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