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* * * *  那津は体がむずむずするような感覚の中、ゆっくりと目を覚ましていく。 「ん……」  呼吸もままならず慌てて目を開けると、そこには朝から那津にキスをしながら体を触る周吾がいた。 「ちょ、ちょっと……!」 「あぁ、おはよう、那津さん」 「朝っぱらから何してるの⁈」 「ん? だって目が覚めたらこんな可愛い那津さんが隣にいるんだよ。我慢しろっていう方が無理」 「だからって……んっ……」  恥ずかしくて体を引き離そうとした那津を、周吾は力いっぱい抱きしめキスをする。 「黙って。言ったよね? 離すつもりないって」 「でも仕事……」 「そのためのパワーをチャージしないと」  周吾に唇を塞がれながら、 『これじゃあ逆じゃない⁈』 と那津は心の中でツッコミを入れる。  周吾が那津の敏感な部分に指と舌を使って愛撫を繰り返すものだから、何も考えられなくなって思わずうっとりと瞳を閉じる。  たった一晩でこの人は私の体を知り尽くしたかのよう。私の気持ち良い場所ばかり攻め立てる。抗いようのない快感の中、彼に身を任せてしまうのだった。 * * * * 「念の為、元カレがいないか確認するんだよ」 「わかってるよ」  周吾が作った朝食をたべてから、彼の出勤時間に合わせて二人で部屋を出る。  すると周吾はその鍵を那津に手渡した。 「これって……?」 「那津さんさえ良かったらさ、ホテルじゃなくて俺の部屋に来ない? 那津さんがここにいられるのはあと少しだし、せっかくなら時間を無駄にしないでもっと一緒にいたい」 「……直球すぎる……」 「じゃないと那津さん信じてくれないでしょ?」  周吾が言うと、那津はバツが悪そうに顔を背けた。それを見て周吾は吹き出す。 「なるほど。今も信じてないわけか」 「だって……」 「安心して。俺は本気だから。でも強要はしない。この鍵は渡しておくからさ、那津さんの好きなようにしてよ。まぁ明日の朝に帰ってきた時に那津さんがいてくれたら嬉しいけどね」  周吾の笑顔からは誠実さを垣間見ることが出来る。 「……疲れて帰ってきて、いきなり私が家にいたら嫌になったりしない?」 「何それ。元カレに言われたの?」 「……」 「大丈夫。考えてもみてよ、もしそうなら俺から誘ったりしないよ。というか、本当にどうしようもない男だな」  彼を信じてもいいのかな……鍵をギュッ握りしめて、那津は小さく頷いた。 「……うん、じゃあ考えてみる」  周吾は那津の手を取りエレベーターの方へ歩き出す。下に向かうボタンを押すと、那津の顎を指でクイっと上げるとキスをした。  周吾に唇を塞がれたまま、到着したエレベーターに乗り込む。周吾は一階に到着するまで、那津を解放しようとはしなかった。 「好きだよ……那津さん……」  出会って四日目。恋ってそんなに簡単に始まる? こんなに早く好きになるなんて、おかしくない? 「俺、本気で那津さんに恋してるんだ……」  舌が絡み合い、徐々に熱に浮かされていく。  もうどうでもいいや……だって彼の愛情がこんなに嬉しい。 「ん……周吾……くん……」  那津が名前を呼ぶと、周吾は嬉しそうに那津の唇を吸い上げる。  彼の笑顔を見ると、私から求めたくなっちゃうの。これはやっぱり恋の始まりなのかしら。
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