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「これは俺のワガママなんだけど……那津さん、仕事はリモートでも出来るって言ってたよね」
「うん、そうだね……」
「……もし良かったら、ここでの生活を延長しない? 那津さんにここにいて欲しい」
すると突然、那津の目から涙が溢れ出てくる。
「えっ、那津さん⁈」
涙をティッシュで拭おうとする周吾の手を、那津は自分の方へ引き寄せる。
出会った時からずっと、この人は優しかった。落ち込んでいる私を励まそうとしてくれたし、ちゃんと真っ直ぐ向き合ってくれた。
私に何かあると、まるでヒーローのように助けてくれたし、それくらいそばで見守ってくれていたんだよね。
「……本当はちょっと寂しかったの……このまま終わりになっちゃったらどうしようって……だからすごく嬉しい……」
周吾は那津の首元に、そして唇にキスをする。
「……言ったよね。那津さんを離すつもりはないって。そろそろ信じて欲しいんだけど」
「うん、もう平気。周吾くんを信じてる……。今日も助けてくれてありがとう」
那津が言うと、周吾は大切なものを扱うように、彼女の体をそっとベッドに寝かせた。
「愛してるよ、那津さん……」
周吾に貪るようにキスをされ、何度も繰り返される愛撫にうっとりと目を閉じる。
「新しい恋、意外と簡単に始められたでしょ?」
「でも……それは周吾くんが真っ直ぐに気持ちを伝えてくれたからで……」
「なるほど。那津さんにはやっぱりそのまま伝わるのがいいんだ。じゃあこれからもそうしていこう」
周吾はニヤリと笑うと、那津が着ていたシャツを取り去ってしまう。それから那津の体の上に舌を這わせ、吸い付くように口づける。それが敏感な部分に触れるたびに、那津は熱い吐息を漏らした。
「キレイだよ……那津さん……」
周吾が那津の中へと身を沈ませ一つになる。
「那津さんを離したくない……ずっとそばにいて欲しいんだ……」
唇を塞がれ、周吾の動きが激しくなっていくと、那津は快楽の波にさらわれ、あっという間に果ててしまう。
「私も……周吾くんと一緒にいたい……」
乱れる呼吸の中でそう呟くと、周吾にそっと唇を塞がれた。
「周吾くんはずっと愛情を示してくれてたのにね……なかなか信じてあげられなくてごめんなさい……」
周吾はキョトンとした顔で那津を見てから、思わず吹き出す。
「あはは、まぁでも意外とめげなかったというかさ。恋っていう感情が久しぶりだったからかもしれないけど、アタックあるのみ! って思ってた。だからと言って、これで終わりじゃないよ。まだスタートだからね」
周吾は胸元のハイビスカスのネックレスに口づけると、にっこり微笑んだ。
「俺の中では、この先の予定に向けていろいろ進行中だからさ。楽しみにしてて」
「うん……」
彼が与えてくれる愛は、まるで甘い甘いケーキみたい。溶けてしまいそうなくらい甘くて、私を幸せな気持ちにしてくれる。
a piece of cake。
本当、あなたの言う通り。時間なんて関係ない。こんなにたくさんの愛情を注いでくれたあなたに恋をするのは、何よりも簡単なことだったみたい。
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