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 海沿いに並んだ店舗の中で、那津が気になった雑貨屋に二人は入っていった。  ハワイの雑貨が並ぶ店内を、那津は楽しそうに見て回る。その中で、アクセサリーのコーナーで立ち止まった。 「こういうの好き……ハイビスカスとか、見ていると元気になる」  那津がハイビスカスのネックレスを手にしながら微笑むと、周吾は驚いたように口をあんぐりと開けた。 「初めて笑った」 「えっ……」 「いや、あっ、ごめん。でも笑った方が絶対可愛いって!」 「……笑顔が可愛くない人なんているの?」 「……確かに。上手いこと言うね」  二人はお互いの顔を見合うと、ぷっと吹き出す。 「ここにはどれくらい滞在する予定?」 「そこのホテルを一週間借りたの。今は有休消化中。仕事もリモートだからあまり関係ないし、本当はもっといたいけど、金銭的にちょっと痛いかな……」 「昨日から一週間?」 「そう」  周吾は顎に手を添え、考え込むような仕草をする。那津はネックレスを元の位置に戻すと、怪訝そうな顔で周吾を見る。 「何?」 「俺、明日と明明後日が出勤なんだけど、その後は連休になるし、良かったら一緒に過ごさない? 那津さん、どうせ一人でしょ? 誰かと一緒にいた方が楽しくない?」  返事に困る那津に、周吾は悪戯っぽい視線を送る。それからそっと彼女の手を握ると、店から連れ出した。 「なっ……!」 「傷付いてる那津さんには遠回しな言い方の方がいいかなと思ったんだけど、やっぱりやめる」 「えっ……」 「本当は昨日那津さんを見てから気になってたんだ。可愛い子が落ち込んでたら話しかけたくなるのは当然のことでしょ」  周吾はふと立ち止まり、にっこり微笑んだ。 「俺は那津さんともっと仲良くなりたいって下心を持ってる。でも那津さんは傷付いたばかりだし、きっとそんな気持ちにはなれないよね。だからさ、この数日で見極めてよ。俺が那津さんの彼氏に相応しいかどうかをさ」 「ちょ、ちょっと待ってよ……! 私たちさっき会ったばかりよ。そんな気持ちには……」  戸惑う那津の手を取ると、周吾は唇を押し当てながら、上目遣いで那津を見る。その視線に囚われ、那津は時が止まったかのように動けなくなる。
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