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「時間は関係ないよ。この一週間で俺がその気にさせてみせる」 「そんなこと……」 「無理じゃない。やってみないとわからないよ」  あまりにも自信満々な周吾に、那津の胸は激しく打ち始めた。 「……どこから来るのよ、その自信は……。やっぱり女性慣れしてる気がする……」  那津が顔を背けると、周吾は逆にその顔を覗き込む。 「違うよ。一週間しかないから慌ててるんだ。元の生活に戻ったら、ここでのことはいい思い出になってしまう。それは避けたいからね」 「……本気?」 「もちろん本気。どう? 少しは信じる気になった?」 「……少しだけね……」 「今は少しで十分。一週間後には、那津さんが俺から離れ難くなってるかもよ」  そんなことあるわけないと思うのに、那津は頬が熱くなり、胸の高鳴りを感じずにはいられなかった。 * * * *  それから二人は夕方近くまで街を散策して過ごした。 「消防士の勤務時間ってどうなってるの?」 「朝から翌日の朝まで丸一日働いたら、翌日は非番って感じかな」 「えっ、じゃあ今日って寝てないんじゃ……」 「大丈夫、交代で寝てるし、仮眠もとってきたから」  那津は目を見開いた。今日は午前中に声をかけられた後、お昼からずっと一緒にいる。仮眠と言ったって、きっと二時間くらいしか寝ていないはず。 「明日も仕事よね……今日はもう帰って休んで!」 「えっ、夕飯一緒に食べようよ」 「それは……! あ、明後日だって出来るでしょ?」 「……わかったよ。じゃあとりあえずホテルまで送らせて」  周吾に言われ、那津は渋々頷く。すると周吾は那津の手を取って歩き出す。  なんだか私、瀧本さんに振り回されてる? 元カレとは全く違うタイプの彼に、戸惑ってばかりいる。
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