尿道カテーテルとふざけた差し入れ。

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尿道カテーテルとふざけた差し入れ。

 これね、俺が高校一年生の時の話。  担任から「とりあえずお前は退学が決まった一旦学校に顔出せ」と言われて学校に向かう最中。  信号の無い横断歩道をチャリで渡ろうとしたらオバサンが運転する車が驚いてアクセルとブレーキを踏み間違えてアクセルべた踏みで15メートル引きずられた挙げ句、その車の下敷きになった。  相手は頭真っ白になってるみたいでウンともスンとも言わなかったから俺はシャシを叩いて助け呼べと叫んだ。  そして近隣の住民六人がかりで俺は救出され、何事も無かったかのように学校に行こうとしたら体が動かない。  そのまま救急車を呼ばれて病院に搬送されるよもちろん。  でも当時の俺は16歳ながらも飲酒喫煙の常習犯で、それらの類いを一切やらない人より仰向けになった時の気道の圧迫がハンパじゃなかったから、体を起こして、やっぱ寝かせてを繰り返すうちに気絶した。  全身の骨折、打撲や火傷による発熱で体温が42℃を超えたためらしい。  そして目が覚めたらベッドの上で首と右腕の肘から先しか動かせない状態だった。  物は食えないし水すらも飲めない。本当に点滴だけで生きてる状態で、口が渇いても水を口に含んで潤したら吐き出さないといけない状態だった。  しっこはどうしてるかって? もち尿道カテーテルよ。  しばらくはベッドの上でエロい妄想でもしながら過ごせると思ったが、尿道カテーテルのせいでエロいことすら考えられない。男ならわかるよな?  で、だ。問題はここからなんだよ。  尿瓶を使って自力の排泄ができるようになり、いざその尿道のカテーテルを抜く時が来たんだが……俺は試されていたのだろうか。  エロい妄想すらできずに溜まっていた状態で、カテーテルを抜く担当がめちゃ可愛い若い看護師さんだったんだよ。  男ならわかるよな?  俺は即座に察したよ。これは勃起したらこの先の入院生活ほとんど死んだようなもんだとね。  しかもその看護師さん可愛いくせにウブで男のアレを触り馴れてないの。  ここからしばし地獄の時間。燃えて炭化して壊死した部分を麻酔無しで切除された時よりも地獄だった。  だってさ、お前ら経験したことあるか? 16歳のお盛んな時季に美人にナニを触られながらギンギンにならないよう必死にウ○チを想像し続けて萎えさせる地獄をよ!  ――そして違う意味で抜けた――。  それから順調に流動食から普通の食事へ、自力で車椅子に乗れるまで回復し、とうとう外部からの差し入れが許可されるまでに至った。  入院生活で一番嬉しい差し入れって実はマクドなんよ。  病院のメシは決して不味くはないんだが塩分が足りなくてね。  もし今これを読んでる人がいて、入院してる友人がいたとしよう。その時はマクドを差し入れると最高に喜んでもらえると思うぜ。  特にテリヤキマックバーガー。  だが、ここまで書いといてあれだが、もう俺がどんな人間でどんな友好関係を持っているのかもお察しかもしれないが、その差し入れも回復するにつれてふざけてくのよ。  もうその時点で俺自身が病室にDVDプレイヤー持ち込んでテレビに繋いで映画観たりベッドの下に酒や煙草を隠してたフリーダム状態なわけだが。  そんで、どんなふざけた差し入れかと言うと、片腕にボルト入れられて完全に動かせない状態なのにガンプラ(しかも間接の多いゴッグ系)とかオナホとか持って来やがるのよ。  オナホ初体験がその時なのだが、「こんなん何がええねん!」って言いながら五階の窓から投げ捨てた。  直後思ったことは、もし病院関係者に拾われてDNA採取されたらどうしよう――と、いうことだった。  マジでね、あの入院生活は顔で笑って心で泣いた数ヶ月でした。  しかも見舞いに来たツレのおかん(元暴走族)に「お前死なん奴やろ」と言われる始末。  多分、俺の人生はここから汚れキャラとして吹っ切れたんだと思う。  まあ、ここからは雑談になるんだが、『ピラニアのサーカス』はある種の使命感で意地でも書いてるんだが、実は他所で活動してて書いてて一番面白いと感じたジャンルはラブコメなんだ。
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