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未来で死んだ場所
階段を降りると様相が変わる。一階層はアリの巣風な洞窟だったが、二階層は地下通路風の迷路。
地面や壁が土から石に変わり、足跡が付かなくなって追跡が困難となる。出現する魔物も変わる。
ゴブリンからスケルトンへ、殺傷力よりも打撃力が求められる様になる。
ニオは元々棍棒の打撃なので問題ないが、ヌイの剣とルエの弓や土精霊が役に立たなくなった。
「ヌイは盾で防御中心に立ち回れ。ルエは風の精霊で吹き飛ばせ。ニオは変わらずだ」
「「はい」」「おう」
この辺りではまだ沢山のスケルトンが同時に現れる事がないので、ほぼニオの棍棒で叩き壊されていった。
俺はニオ達に迷う事無く、ある場所まで誘導する。近くまで来た時、幻痛が起きる。今は過去、実際には未来で起きる事だ。
「行き止まりじゃねえか」
「隠し部屋があるんだよ」
「何で知っておられるのですか?」
ルエの疑問には答えずに、記憶の中で見た通りの場所を押し込む。すると、壁が動き出して入り口が開く。
「中に入るぞ。ヌイは盾を構えて警戒しながら進め」
「はい」
入り口が狭いので一人ずつ入る。先頭がヌイ、ニオ、俺、ルエの順だ。
「間違いない。俺はここで奴等に殺された」
隠し部屋に入り、中の様相を見て確信した。俺はこの場所で仲間と思っていた奴等に殺された。
「意味不明だぞ。ご主人様は生きているじゃねえか」
「殺されたのは近い未来で、俺は家宝の力で過去に戻ったんだ」
皆に俺は起きた事を伝えた。証拠にはならないが、壊れた家宝も見せる。戒めとして、今も肌身放さず着けていた。
「本当ならソイツ等は糞野郎共だな。殺っちまおうぜ」
「万死に値します」
「私達奴隷では人殺しが出来ません。無念です」
ニオ、ルエ、ヌイの感想は俺に同情的だった。短い付き合いなのに、主従関係のお陰だとしても嬉しい限りだ。
「殺せなくとも、奴等を捕らえて奴隷落ちさせてやれば良い。どうせ俺の様に誰かをここに誘い込んで来るに違いないからな」
今の状態では奴等が何時此処を訪れるかも解らず、捕らえるにしても足りない物が多すぎる。一度戻って万全の状態で挑む事にした。
「中の物には触れずに立ち去るぞ。警戒されたら面倒だからな。今日は此処までにして帰るぞ」
「「はい」」「おう」
ダンジョンから帰還して、番人から金貨を返却して貰う。街の宿屋で二部屋取り、食堂で先に腹拵えを済ませる。
部屋割りは俺とルエ、ニオとヌイにした。ニオは舌打ちして部屋に入り、ルエは顔を赤らめながら部屋に入る。ヌイは部屋に入る前、少し羡ましそうにルエを見ていた。
「さて、寝る前に汗を流したい。水の精霊で身を清めてくれるか?」
「畏まりました」
俺は部屋の扉を閉めて早々、服を全て脱いで真っ裸になる。バナナを直視するルエ。安心しろ、栄養補給はこの後だ。
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