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侍女Aの朝のルーティン
侍女Aの朝のルーティン
朝、5時に起床。
私は顔を洗い侍従服に着替える。
少しさっぱりした所で、その後は同僚の人のレイアを叩き起こしに行く。
その後は調理室に行き朝食を作っている料理長を手伝う。
これが掃除当番の日は、屋敷中を掃除すると言う朝からの重労働が課せられる為今日はラッキーだ。
前世は、料理が好きと言うよりかは食べるのが好きで良く何か作っていた。
今世も、自分で何か料理を考案しないと生きてけなかったので料理はまあまあ得意である。
賄いを貰って、少し腹を満たし次は主人を起こしに行く。
部屋をノックすると、何かが動く気配がある。
もう主はおきているようだった。
「失礼します」
部屋に入ると、まだ眠た気な顔の主がいる。
ベットの上で座り込んでいた。
「…………….。クルス。」
「何ですか?アリーエ様。」
「おきたいのに起きれない。」
「そうですか。私の独り言なので気にしなくてよろしいのですが、今日の朝食はデザートにプッティムが出るらしいですよ。」
ピクッと座り込んだままのアリーエ様が動く。
「曰く、珍しく黄金鳥の卵が手に入ったから腕を振るったそうで。朝から甘味を取ると、体に宜しくありませんので私としては」
そこで私の言葉は止まった。何故ならアリーエ様が立ち上がったからである。
「起きる。」
「はい、おはよう御座います。」
「おはよう、クルス。」
ちょっと我儘な所可愛くねぇか………やべえ。
座り込んだままって天使かよっ、、
私の脳内では、本能が尊いと書かれたプレパラートをかけて暴れ回っている。
そろそろウザいのだが、本能の興奮は止まらない。
ついに理性まで取り込もうとしている。
あかん、手を動かせ、本能の好きにさせてたまるものか!
「御髪を整えますね。」
「ありがとう、、」
櫛で主の髪を梳く。
サラサラの髪は触り心地が良い。
「そう言えばなんだけれど、昨日はなんの用事があったんだい?」
唐突にアリーエ様が聞いてきた。
思わず手が止まる。
動揺した事を悟られぬ様、平然を装いつつ答える。
「そうですね、知り合いが腰を痛めたそうなのでお見舞いに行ったのです。昔お世話になった人なので……」
「なるほどね、知り合いは元気そうだったかい?」
「はい、あと一週間ぐらいすれば治る程には元気でしたね。持っていったお見上げ、マリーナ領のワインだったのですが、とても喜んでいただけて、、」
「それはよかった。」
他愛の無い会話を交わしつつ冷や汗をかく。
多分不自然な事は言っていない筈だ。
使用人一個人の予定を調べる程、主様も暇では無い筈なので特に不信がられる事は無いだろう。
そうしていると髪を整えて終わったので次は着替えっと。
それも終わったら、主と共に食堂へと向かう。
主の父君と母君はそれって食堂の真ん中にある長テーブルを囲む様にして座っている。
主のイスを引き、そこに主が座った。
そして私は後ろに控える。
その後、無言の食事が始まった。
良い匂いのするパンとコーヒー、スープ、サラダなどが運ばれて来ても誰一人として喋らない。
カチャカチャとしたナイフとホォークが奏でる音が、冷たい空気の中に虚しく漂うだけだ。
正直言って、こんな空気の中食事をとっても味がしないだろう。
でも、一介の使用人風情が主の食卓問題について改善できるかと言えばそれは無理だ。
ただ黙ってそれを見つめる事ぐらいしか出来ない。
一応持っている権力を使えばできるかもしれないが…それは根本的な解決にはならないだろう。
やっぱり主様の家族は冷え切っているな、とどうにもならない不甲斐なさを感じながらそれを見る。
まぁ、私の今世の家族も冷え切っているといえばそうなのだが。
異母兄妹は長男に忠誠を誓い、生きていく者が多かった。
母親の顔は知らない、自分自身を産んだその後救世主様と異母兄弟の母親達と何処かに行った。
前世はこうでは無かった。
可愛いくも生意気な妹に優しい兄。
仲の良い両親は怒ると怖いが、いけない事を叱ってくれる普段は穏やかな良い両親だった。
だからこそ、こんなに虚しさを感じるのだろうこの光景が。
そして主様に、主様本人は望んでもいないかもしれない同情心を抱くのであろう。
食事が終わり、主様は中庭に出る。
此処で読書をしたり、魔法学の練習や剣の鍛錬を朝主様はする。
今日は剣の鍛錬をするそうなので、私はタオルと差し入れのレモン水を取りに厨房へ向かう。
厨房で木のコップに水とレモン、氷を並々と入れ、私の固有魔法マジックボックスで異空間に収納する。
このマジックボックス、中に物を入れるとその物の時を止める高性能な物なので愛用品だ。
転生チートって良いよね、と思いつつタオルを持ち中庭へ。
鍛錬が終わるのを見計らいタオルとレモン水を渡す。
昨日と同じく、制服のジャケットと鞄を用意し御者のナンに連絡。
今日は主様についていける日なので、気を引き締めなければ。
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