第三話 幽閉

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第三話 幽閉

「メイドさん、ちょっとぶらりと、  回ってきて良いですか?」 「どうぞ、ご自由に。」 僕は、他にもいろんな場所が見たいと思い、 廊下を歩いた。 窓から外を見ながら歩いていると、 奇妙な物が目に入った。 「ん?なんだあれ?」 黒い焦げたような、木が、庭に置かれていた。 「……あぁ、あれは、昔に燃えた、離れの  倉庫です。」 「うわ!?メイドさん!?  いつからいたの?」 「いえ、ずっとついてきましたよ。」 全然気づかなかった…… 「…燃えて消えたということですね。」 「……はい、残念ながら……」 「…なんだか、寂しいですね……」 「寂しい……そうですね……。」 なんか、空気が重くなったな…… 「じゃあ僕は、皆のところへ戻ります。」 「わかりました。  私は、少しここに居ます。」 お礼をいって、その場をあとにした。 廊下を歩いて皆のところへ戻った。 「さて、いろいろ楽しんだし、  そろそろ帰ろうかな。」 「うん、そうだね。」 あのメイドさんにお礼を言いに行こうと した時、 ピカッ、ゴロゴロ!! ポツポツ、ザザーーー!! 「うわ!?何!?」 突然、落雷が降り、大雨になった。 「やベー。傘持ってきてないぞ。」 どうしようとした時、後ろから、 「みなさん、よかったら泊まって  いきませんか?久しぶりのお客様ですし、  私にお世話させてくださいな。」 「うわ!?ビックリした。」 「…あの、もしかして、泊まって  いっていいんですか?」 「はい!もちろん!」 「「「やったー!」」」 皆で、バカみたいにはしゃいだ。 「では、このお部屋を、ご自由に  お使いください。」 「わーい。大きいベッド~。」 「私は、となりの部屋を見てきます。」 「なんか、enjoy timeになったな。」 口癖で、つい英語を言ってしまった。 「まあ、西洋の言葉を使うんですね。」 「え!?えぇまあ。口癖みたいなもので。」 「主がいた時も、そんな言葉を……」 「メイドさん?どうかしましたか?」 「いえ、なんでもありません。  私、お食事の用意をしてきますので。」 「あっあの!あなたがいてくださって、  本当に助かります。 ありがとうございます!」 その言葉、主にも言われた懐かしい言葉。 ……あぁ主よ。私は、なぜあなたのもとへ 行けないの? 「……体調でも、悪いのですか?」 「いえ、なんでもありません。  お食事の用意ができたら、  お呼びしますので。」 と言って、メイドさんは、部屋を出た。 ……あぁ、あの方達といると、 あの日の頃を思い出す。 私が亡くなってからの間、 ずっと寂しかった。 あの方達が行くと、またひとりぼっち。 私は、どうしたら良いのでしょう………… 「いっこうに、やむ気配がしないね。」 「こりゃ泊めてもらって正解だな。」 「みなさん、お食事の用意ができたので、  食堂まで、ご案内します。」 「わーい。ありがとうございます。」 部屋を出て、長い廊下を歩いた。 「ごはん、ごはん。」 「おい、リョウヤ、うるさいぞ。」 「なんだと!?」 ギャーギャー言いながら、歩いた。 「…本当に長い廊下ですね。」 「………ええ、まあ…」 「お屋敷二軒分くらい  ありそうな広さですね。」 「……その通りです…」 「え?」 「離れと本館をつなぐ通路ですから…  もうここは、離れの中です…」 「え!?たしか離れは、燃えたって…?  あなたは、誰ですか?」 「私は、離れで亡くなった、  仲井サイカです。」 これは、一体どういうことだ?
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