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「……14年と246日前だ」
一番面白い反応をした子供は誰か挙げて盛り上がっていると、人体模型がおもむろに口を開いた。
「何の話だ?」
突然のことに怪訝に思って骨格標本が尋ねた。
「悪ガキが最後に来た日だ。あれは14年と246日前の夜だった」
「今まで数えてたのかよ!? 相変わらず細かいな! そこはもう、15年でいいじゃねぇか!」
「俺は細かくない。お前がいい加減なだけだ」
「なんだと! いちいちムカつくやつだな。今日こそ決着をつけるか!」
「望むところだ」
二人は勢いよく立ち上がると、廊下まで肩をぶつけ合いながら出て行く。いつものやり取りに止める者はいない。
「いいか、廊下の端まで早く着いた方が勝ちだからな!」
「負けて吠えずらをかくなよ」
スタートの合図を金次郎に頼み、姿勢を低くする。お互いに睨みつけあっていたが、金次郎の「よーいどん」の掛け声と共に、勢いよく飛び出して行った。慌ただしい足音はあっという間に小さくなった。
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