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「週末、何してた?」
ソファーに深く腰を下ろした男が、ネクタイの結び目に長い指をぐっと入れて緩めながら、聞くともなく聞いてきた。
そっと指先を添えて、私が代わりにネクタイを緩めて抜き取る。
「特に何も。あ、知り合いの方とご飯に行きました」
お洒落なホテルで知り合いの素敵な人とご飯を食べて、寝た。
絶対にそういう真実を求めても来ないだろう目の前の男に、秘密めかせて、くすっと笑うと、つられたのか、この男も笑った。
「そう。楽しかった?」
分かっているんだろう。
私が時折、ほかの人に抱かれること。
「楽しかったです」
私が何処で何をしようと、この男は動じない。
嫌味な位、私を放し飼いにする。
そして、無言の牽制をする。
ー 俺も自由だから。
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