15話 それぞれの冬(上巻2996頁の続き)

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それがなければ、しばらく気付かなかったかもしれない。どころか、今でも気付いていなかったかもしれない。 鈴奈ちゃんへの気持ちに気付くまでは恋愛も結婚も考えていなかった。 ただ、昔からそうだったからか、仲が良いからかわからないが、輝さんと、という話は昔から親族にされていた。輝さんもさぞかし迷惑だっただろう。 僕にとっては輝さんも聖君のように兄妹のような存在だ。 「えっと、その時に、春野さんも私の言動に驚いてらして。小清水さんのおかげで強くなろうと思えた、とお伝えしたら『あの、新川くんと仲の良い、鈴奈ちゃん、ですよね』と仰っていました」 聖君はそう言って微笑む。 「……そうなんだ、人が言っているのを聞くと恥ずかしいものだね……」
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