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あれは絶対に柔軟剤とかじゃない。確実に香水だ。どこの何まではわからないけど。それに、毎回違う気がする。フローラルだったり、バニラだったり。
わざとボケてんじゃないだろうな、雄貴さん。
「……ま、俺も耄碌したってことか」
雄貴さんは苦笑してビールを呷る。
「耄碌してる場合じゃないっすよ? 考えましょう。今年はちゃんとお返ししましょう」
世話の焼けるおっさんだよ。ここで彼女を捕まえなかったら、この後はないかもしれないってのに。
「マグカップから急にそういうきちんとしたもんにすると、ビビんねーか?」
「どういう発想すか。大丈夫です」
好きな男からのプレゼントがランクアップして、喜ばない女はいない。間違いない。そういうテクニックを使って来た俺が保証する。逆にチャンスだ。
「そんじゃ何がええんだて。ヴィトンのバッグか」
「バブルですか」
いつの時代の話してんだ。そんなもん普段使いするようには見えない。持て余すだろ。
「普段使えるものがいいですよ」
「普段なぁ」
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