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ライブが決まると、燃えるな。昔と違って、今はガチで俺が叩き出した音で、お客さんが頭振ってくれる。それが単純にめちゃくちゃ楽しい。SODにはまだまだ着いてくのがやっとだけどな。
長年のエアードラムで培ったプレイ中のパフォーマンスも無駄じゃなかったみてぇで、派手なドラミングを見せるヤツだ、って覚えてもらえてる。怪我の功名ってヤツ。災い転じて福となすとか。
ハイボールに口をつけた瞬間、背中をバン、とぶっ叩かれて思い切り噎せる。おいおい、勘弁してくれよこのタイミングで。
「ちょ……っ、なんすか!」
噎せながら振り向くと、雄貴さんが腹抱えて笑ってる。ひでー。
「悪ぃ悪ぃ! 元気か小僧!」
「元気っすよ!」
雄貴さんはビールを頼みながら俺の隣に座る。
「かおるちゃんは」
「仕事っすよ」
「そうかそうか」
和馬さんも雄貴さんも、俺が生まれる前からかおるさんを知ってんだよなぁ。和馬さんなんか、結婚してたんだもんな。何か不思議な感じがする。
「相変わらずラブラブで?」
「おかげさんで」
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