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早速、茶飲みテーブルの上に材料を準備する。ピザ生地は出来合いのものを使用。輪切りにしたピーマン、トマトを乗せ、チーズを撒き散らす。二枚作り、片方には自宅にあったカレーパウダーを振りかけた。フライパン、オーブントースターに投入。後は様子を見ながら待つのみである。
夏見はオーブントースター、私はフライパンの監視担当になった。わたしたちは背中合わせに椅子に腰掛け、会話した。
「ところで先輩、実は私、一個ネタを持ってるんですよ。聞きます?」
「この流れって聞かないといけない感じだよね?」
「いや、別にいいんです。聞きたくなければ私の心のなかにしまっておくだけなんで。でもそいつは私の心の檻のなかに長いこと眠っていて、今にも牙を剥き出して飛び出してきそうなので、できれば吐き出させていただけるとありがたいかなと」
「え、なんか怖い」
「怖くはないですよ、U.F.Oに乗った話です。ま、正確には乗せられたんですけどね」
「待って。嘘くさ」
「いやいや、聞く前にそりゃないですよ。ちなみにU.F.Oって、『 Unidentified Flying Object 』の略なんですけど、知ってました?」
「そりゃ知ってるよ。自称UMA研究家としてはテッパンでしょ」
「自ら自称とか言っちゃってるし」
「嘘は言ってないよ」
「ええ、確かに」と、夏見は立ち上がる。振り向くと、彼女は手に持ったトングでピザの配置を微調整していた。つられてわたしも蓋をしたフライパンの中身を確かめたけれど、まだ全然、ピーマンが生き生きしているので椅子に座り直した。
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