U.F.O

5/8
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「まだ焼けそうにないし、暇だから聞いてあげる。でも先に一つだけ確認したいことがあるけどいい?」 「はい、なんでしょう?」 「わたしはね、リアリティを追求するほど大袈裟なものではなく、信じるか信じないかはあなた次第というラフなものではなく、大真面目にこれは本当の話なのだと眉ひとつ動かさず嘘をついてほしいの。わたしの目の前で。夏見が話そうとしているのは、この条件に満たされる?」 「ほえ~」 「何その『ほえ~』って」 「精一杯の不満を口にのぼせたらこうなりました。深い意味はありません。ところで先輩は結構本気なんですね。そんなに本気だったらやっぱり卒論のテーマにすべきですよ。と言うかそうしましょう。おっと、こっちのピザはもう頃合いですよ。皿に出しますね」  夏見はすっと腰を上げ、用意していた大きめのオーバル皿に焼きあがったピザを乗せた。カレーの良い匂いがぽわんと漂い、空腹を刺激する。散らかったままの茶飲みテーブルの端に置き、持参していたピザカッターで四等分にした。 「へえ、慣れてるね」 「ピザ屋でバイトしてますからね。キャベツの魔術師って呼ばれてますよ」 「ピザにキャベツ乗らなくない?」 「サラダの話です」 「ああ、なるほど」 「今の絶対わざとですよね?」  夏見が買ってきてくれた烏龍茶で乾杯し、熱いピザをハフハフしながら口に運ぶ。市販のピザ生地万歳。シンプルな具材しか乗せていないのに、ものすごくおいしい。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!