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夏見はこぼれ落ちそうなチーズをすくいながら言った。
「残念ながら私の話は、先輩の言う『信じるか信じないかはあなた次第』になりそうです。でも暇だから聞いてあげるということでしたので、話していいんですよね」
「ちょっとフライパン見てくるから、保留」
「ポヨポヨ」
「何そのポヨポヨって」
「パヤパヤ攻撃に対しての復讐です」
「やだ怖い」
わたしは大袈裟に顔をしかめてから食べかけのピザを取り皿に置き、フライパンの様子を見に行く。と言っても、たった数歩の距離である。途中から上に乗せていたアルミホイルを避けてなかを確かめると、程よい感じにピーマンがしんなりとし、チーズも溶けていた。
「第二便イキマース!」
「ハイホー!」
夏見はひと切れずつ残っていたピザを互いの取り皿に避難させ、オーバル皿を空にする。わたしはそこに、ピザをスライドして着地させた。洗い物が増えるので、フライ返しは使っていない。ちょっと皿から落ちた。
「緊急事態発生! 緊急事態発生! 今すぐ航路を外れた仲間を救出せよ。ラジャー!」
「一人で何役やってるの……」
「宇宙人夏見は永遠に一人ですよ。他の人はみんな消えてしまったので」
「食料とかどうするの?」
「ピザがあればどこででも生きていけます」
「……」
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