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「……なあ、ニマ」
「ん?」
「俺、頑張り続けたら、いつか百象隊に入れるかな」
「それは厳しいと思う」
「即答かよ! もっとこう『いつかきっとね』みたいな返しあっただろ!」
「無責任なことは言いたくないんだ」
「はぁ……気張りすぎて腹が減った」
「では、代わりにいい知らせだ。今回の功績者として、ジャホは報酬がもらえるはずだよ。多少纏まったお金が入るんじゃないかな」
「マジ!? やったなゾウ太!」
「ゾウ~」
小躍りするゾウ太を見て、優しい気持ちになる。
勝手に卑屈になっていてごめんな。
確かに夢は叶えられなかった。でも、俺は象を出せるようになった。
才能の差ばかり目について、自分に残ったものの美しさが分からなかった。
見るべきなのは他人の象じゃなくて、前に進んだ自分の足跡だったんだ。
「久しぶりに腹一杯食えるな、限界まで食べまくろうぜ! もしかしたらゾウ太もでっかくなるかもな!」
「ゾウゾウ!」
「食べ過ぎは身体によくないよ」
「うるせえ!」
騒動を終え、ようやく俺たちは日常に戻り出す。
俺の隣には、色んなやつらに笑われてきた、小さな小さな相棒がいる。
でもそれが何よりも誇らしく、胸を張って歩くことができた。
自分の価値を他人に決められてたまるかよ。
自分を決めるのは、自分だ。
「さあ、帰るかゾウ太!」
「ゾウ!」
俺たちは、誰もが心に象を持っている。
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