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「誰か百象隊を呼べ! 早く!」
圧倒的な何かに逃げ惑う群衆。
その中に、俺は混ざったままでいる。
ここで呼ばれる人間は、俺ではない。
♢
才能というものが、もしはっきり目に見えるものだったら。
恵まれたものは、それを誇りに思うだろう。さらに努力を重ねて存分にその力を発揮し、望む未来へと進んでいくはずだ。
恵まれなかったものは、その分他の何かを頑張ってみたり、恵まれた人間に嫉妬して恨み言を口にしたり、はたまた「まあ自分なんてそんなもんさ」と分相応を気取ってみるかもしれない。
そして、俺は後者であって、ここはそんな世界だった。
この世界では、才能が「象」の形をとる。
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