有象無象

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 足が止まった。  気付けば、衝動に突き動かされていた。  「象の大きさ」が力の象徴じゃない。  俺にとって、力の象徴が「象」なんだ。  そうさ、俺にはちっぽけな力がある。  死に物狂いで掴んだ乏しい才能。  何かに抗うには到底足りない。  それでも、何もできない訳じゃない!  胸の奥から、何か熱いものが目を覚ました。  あの日以来、蓋をして閉じ込めていたものだった。  そのすべてを、ありったけの叫びに変えて呼んだ。 「――来いッ! ゾウ太ッ!」  腹の底から放たれたそれは、強烈な光となった。
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