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「ちわーっす、お届け物ですよー」
頭と両手で支えていたカゴを地面に下ろす。
「やあジャホ、今日もご苦労さん」
「ゾウッ」
「おぉゾウ太。相変わらず元気だな、よしよし」
「ゾウゾウ」
まあ、みんながみんな馬鹿にしてくる訳でもない。何だかんだでゾウ太は結構愛されているし、温かい目で見守ってもらっている。
本当は、俺も百象隊に入って立派な生き方をしてみたかった。でも仕方ないんだ。どうにもならない現実ってやつがそこにあるだけ。
自分の器を知れたんだから、これからは分相応に生きればいい。そう言い聞かせるものの、やっぱり無念ってやつは簡単には消えない。
「よし、今日の配達は終わりだ。帰ってメシにしようぜ」
「ゾウ~!」
ただ、こうやってパタパタ耳を振って嬉しそうに笑うゾウ太を見ていると。
まあ、こんな暮らしも悪くないよな、なんて思ったりするんだ。
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