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しかし、南へと行き道が分からない以上、その町に行って道を聞くか地図をもらう事が一番の近道である。 「そう言えば通行許可証は?」 南の地に足を踏み入れる際に関所にて必要な通行許可証。 それを持っているのかと二人に聞けば 「お前······山奥育ちなのによく知ってんじゃねぇか」 「うるせぇよ」 山奥育ちでもそのくらい知っていると焔の両頬を引っ張る。  通行許可証はしっかり貰ってきていると花火が自信満々で服から取り出そうとする。 「··········あれ?」 帯、襟、胸元から股ぐらまで全身をゴソゴソと隈無く探すが、通行許可証となる物は全く出てこない。 まさかと思えばそのまさかだった。 「········あの屋敷の中かも?」 「「はあぁあぁあぁあ!?」」 花火の言葉に翠と焔の大声が森中に響き渡った。 「どうすんのよ!?屋敷なんて今頃燃え尽きてるわよ!!」 きっと通行許可証も燃えてしまっている事だろう。  また再発行となれば許可証を取った場所まで戻らなければならないうえに申請してから審査・許可が下りるまで日にちがかかる。 岩戸の洞窟まで行くのも億劫であり、北の兵達がまだいるかもしれない。 何より翠達は既にお尋ね者だ。  あんな場所に戻れば即捕まる。
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