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儀式が終わり幕に入り普段着にしている巫女服の上から青漆色の羽織を肩に掛け休憩している時、やけに外がザワザワと騒がしかった。 「どうしたの?」  幕から顔を覗かせればこの辺では見かけたことのない黄檗色の髪の凛とした姿の女性と木目調の仮面を装着した体格のいい男四人が目に映った。 女性は自らを【風美(フウミ)】と名乗り、自分達は北の闇神の衛兵だと言った。 闇神の部下がこんな人里離れた山奥に来た理由を察した村の者達は焦りだし、その様子に幕から覗いていた翠は異様な違和感を感じた。 「我々は······」 少しグッと唇を噛み締め何とも言えない表情をした風美は一呼吸おいた後、冷たい目をして村人達に言い放つ。 「罪人の娘である鬼巫女の翠を捕まえに来ました。」 「·····は?」 罪人の娘とは何ぞ?と、耳を疑う。 突然やってきて此奴らは何を寝惚けた事を言っているのだと瞬きを数回した。 「我が君主である闇神様と敵対関係にあった水神が罪人になる事は当然の事です」  三つ編みを緩くまとめた髪に綺麗で上品そうな見た目とは裏腹に冷淡な物言いの彼女の空色の瞳は幕から覗いている翠を睨むようにして見つめる。 顔すら知らない父親の所為で罪人になるなんて有り得ない。理不尽でふざけた理由で捕縛を行おうと衛兵達が翠に近付く。 「それと·····村に水神を招き入れ、北に隠れ一族の一員にした貴方達も同罪です」 風美は一族一丸となって水神の娘を育てた村の者達も大罪であると冷たく言う。 現在、風美の部下達が既に翠達の故郷である鬼の村に火を付け住人達を粛清していると説明。 「·········」 此奴らは何を言っているんだ。 信じられない言葉を聞かされたまま唖然としていると、風美は話を続ける。 「我が君主に歯向かう者は全て粛清の対象です。村ごと消し去るようにとのご命令を受けております」 自分達の不在中に故郷が焼かれ、家族や友人、仲間達が今、現在進行形で虐殺されている。
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