追憶

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 花屋の帰り道、普段はまったく顔を出さない商店街から駅までの道を歩いて行くと、こんな世界に通っていたのかと思ってしまう。  思った以上に華やかで、それに賑やかだった。  もし、もし……いや、やめておこう。  視線を落としてまた駅まで向かっていく、途中お肉屋さんから美味しそうな香りが漂ってきて、おもわず買い食いをしたくなったけれども、財布の中には1000円しかないのを思い出して、僕は歩き続けた。 「こんな楽しいことずっと知らなかったんだな」  ちらほら見かける母校の制服、一緒に卒業した人たちだろう。  楽しそうに友だちと遊んでいた。  僕はそんな光景を見つめながら進んでいく、いつ変わったのかアスファルトではなく赤焦げた色のレンガの道、隙間から雑草が生えだしており、これを処理する人たちは大変だなぁ……なんてことを考えてしまった。    両手にいつもない違和感を持ちながら、フワッと花の香りが鼻先をくすぐる心地よさは生まれて初めて感じた。  もっと色々やっておけばよかった……とは思わない。  だけど、こういうのも悪くないなぁと思ってしまう。  正直言えば、僕の時間はずっと止まったままだった。  身体的な特徴はもちろん成長しているが、心のありかはずっとあの頃のままである。 いや、あの頃のままであるなんて言っているが、実際は僕が維持しているだけの話。  実際に今日初めて違うことをしてみると、すんなり行動できた。  
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