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間宮君は今の会話を聞いていたのだろうか。
男子たちが小さく舌打ちをして、立ち去ろうとこちらに進み「どけよ」と前にいた私の肩を押し出す。と、ふわっと身体がよろけ、次の瞬間、目の前が真っ暗になった。
階段の下、足首に鈍い痛みが走る。
「藤波、大丈夫か」
目の前にあるのは、廊下の先にいたはずの間宮君の顔だった。
見上げるとさっきまでそこにいた男子たちが階段の上にいる。階段から落ちたのだ。
「やべっ」という顔つきをしつつ、彼らは廊下の方へ逃げようとする。
と、ギュッと激しく上履きが床を蹴る音と同時に、ものすごい勢いで階段を駆け上がっていく間宮君の背中が飛ぶように浮いた。
テレビや映画以外で人が殴られているところを初めて見た。しかも目の前で。首根っこを掴んだ間宮君が殴りかかり、男子たちはその場に倒れる。
一瞬のことで言葉が出ない。
どうしよう――。
間宮君は駆けつけた先生たちに取り押さえられ、職員室へ連れて行かれた。
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