三月の彼に

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 教室で一人途方に暮れていると、いじめグループの中心にいた田中さんが、男子の取り巻きを連れてやってきた。  鎖骨のあたりでふわっと巻いたロングヘアを触りながら、 「どうせ、勉強しかできないんだから、帰れば?」  鼻で笑った彼女は、そう言うと一番近くにあった机の脚を乱暴に蹴った。  反応したら負けだ。向き合うと涙が出そうになるのをぐっとこらえた。  田中さんたちが、こちらへもう一歩近づこうとしたそのとき、ガラッと教室の扉が開き、私の背でクリーム色のカーテンが揺れた。同時に校庭にホイッスルの高い音が響き渡る。    登場したのは間宮君だった。 「一つでもできることがあるなら、いいだろ。素直に言えよ、羨ましいって」  そう言うと間宮君は、大股で教室の奥の方まであっという間にやってきて、私の手を引いて教室を出た。
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