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私たちは神なので、本来飲食をしなくても生きられるし、暑さ寒さで弱ることもない。
とは言うものの、それでは味気ないので嗜好品として飲み物や食べ物を口にし、裸では何だか気まずいので服をまとう。
欲しいものがあれば、最高神さまが創り出した『珠』で買い求める。
慳貪の神さまは、賢い神さまだったと聞く。
最高神さまに与えられた、何もないのに問題ばかりが多い土地をどうにか鎮めて名を上げた。
ところが、いつからか世界は形を変えた。
『珠』と力を多く手に入れた神さまほど格が高いと崇められる。
その中で足掻き苦しんで歪んでしまったのか、初めからそういう性質だったのかは誰にもわからない。
慳貪の神さまは、元の名も姿も失ってしまったように見える。
私はにっこりと笑う。
笑えない時ほど笑ってしまうのは悪い癖だ。
「慳貪の神さま。私は慳貪の神さまの物を見る力を敬っておりました。ご自身にとって価値のある物しか身の周りに置かないことを他の神さま方からも聞いております。だからこそお気に召さない品をお渡しするわけにはいきません。ご返品いただけますか?そうすればこれ以上私と関わり合うこともないでしょう」
慳貪の神さまは、思い切り口をひん曲げて私を睨んだ。
数呼吸の間があった。
乱暴に『珠』を一つ私に押しつけた慳貪の神さまは、荒っぽい足取りで店を出て行った。
あまりに珍しいことだったので、私はしばらく茫然と立ったままだった。
「あれ、と言うことはあの文字、気に入っていただけたのかな」
私の書いた『光』の文字はお役に立てるだろうか。
慳貪の神さまの心を開くのは無理だとしても、せめて周りの神さま方の居場所が住み心地よく明るければよいと思う。
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