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視線が合い、同じタイミングで俯く。
「「あのっ」」
少しの沈黙。
先に口を開いたのはルーヴだった。
「俺はこれから神域へ拠点を移す。聖女にとっては黒い森よりも居心地がいい筈だ。……だから、その。これからも、一緒にいてくれないか?」
「……驚きました」
シエルはもう一度、ルーヴを見上げる。
「デェスさまからその話をお聞きして、わたしも、同じことを言おうとしていました。わたくしは、ルーヴさまのお傍にいたいです」
今度は微笑み合って。
ルーヴが両手を広げ。
シエルは、その胸に飛び込んだ。
しっかりと、ルーヴはシエルを抱きしめる。
「マフィン、また作りますね」
「おぅ」
「他のお菓子も作っていいですか?」
「当たり前だろ。お前は、お前の好きなことをやればいいんだ」
「言いたいことも?」
「ん? 何だ?」
シエルは顔を少し離して、潤んだ瞳でルーヴを見つめる。
「好きです。ルーヴさまのことが」
何故か少し泣きそうになってから、ルーヴは満面の笑みを浮かべた。
「俺も好きだ。シエル」
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