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♥初めての友達・ナナちゃん♥
靴箱で靴を履き替え、教室の扉に手を掛ける。
カララララッ
とドアを開けるとクラスみんなの視線が私に集中した。
そりゃそうだ。入学初日なんだもん。
でもその中で1人、気になる男子を見つけた。
いや、気になるというより『目立つ』という方が合っているかもしれない。
その男子は、入り口側で前から3番目に座っており、本を読んでいた。
何故私が気になったのかというと、みんながこっちを見てきたのに対し、その子は1人黙々と本を読んでいたから、少し気になったのだ。例えるならテニスの試合を見に行って、ボールの動きを追うことなくずっとスマホいじってる感じ。
私はその男子を尻目に私は黒板を見て自分の席の位置を確認した。
「えーっと私の席の位置は、1番窓際の後ろから2番目かー」
私の名前は渡辺風和花なので、この教室は名前で順番が決まっているっぽい。
荷物を席に置くと、前に座っていた女の子がくるりと後ろを振り向き私に話しかけてきた。
「はじめまして!私、百合沢菜々子!ナナって呼んでね!」
不意打ちを喰らった気分。でも、とても嬉しいと感じた。
「はじめまして。私は渡辺風和花って言います!ニックネームは…えっと…」
今までにニックネームで呼ばれたことがなかったから言い淀んでしまう。今まではずっと『渡辺さん』とかだったから。
でもナナちゃんは
「ニックネームないの?なら、私が作ってあげる!いい?」
と機転をきかせて新しいニックネームを作ってくれると提案してくれた。
「いいの⁉︎ありがとう、ナナちゃん!」
「んー、じゃあ、何にしよう…。風和花…ふわ…あっ!『ふぅ』はどう?」
可愛い………
「うん!最高だよ!ありがとう!じゃあ、ふぅで、お願いします」
「じゃあよろしくね、ふぅ!」
そこから私達は好きな物や事、趣味やどんな部活に入りたいかなど話した。
そうこうしているうちに教室に先生が入ってきた。
「はーい皆さん、はじめまして。私がこのクラスを一年間受け持つことになった、松村太一郎だー。よろしくなー」
パッとみる限り松村先生はいわゆる、みんなに愛されるお爺ちゃん先生だった。
内心、優しそうな先生でホッとする。
「それじゃー、まずは入学式だから体育館に移動してくれ〜」
と指示が出た。
みんなぞろぞろと体育館に移動する。
私はナナちゃんに誘われたから、一緒に行くことに。
「ただいまから嵐ヶ丘高等学校第98期生、入学式をとり行います…」
入学式はとても眠くなる。でも、ワクワクも感じる。それは、小学校の時も中学校の時もそうだった。
「続いては、98期生代表挨拶。代表挨拶をする一ノ宮優さんは、登壇しなさい」
「はい」
凛とした返事が私のクラスの前方から聞こえた。
登壇した男子を見た瞬間、私はあの本を読んでいた男子だということに気がついた。
新入生代表制挨拶をするってことは入試1位だったということだ。つまり、私は彼の1コ下だったというわけだ。しかも私は一問しか間違っていなっかたから彼は全問正解だったということだ。これには正直とても驚いた。
そうこう思っているうちに入学式は幕を閉じていた。
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