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第一話 死者との交信
「母さんへ
もし、千春が戻ってくるような事があったら温かく迎えてやってください。
そして、私にメッセージをくれる様に伝えてください。
喧嘩別れして十年経つけれど、謝らせてほしい。
最後まで母親らしい事ができずにごめんねと伝えたい…」
そんなメッセージが祖母のスマホに届いたのは母が亡くなった二日後だった。
*
私はたまに夢を見る。
母と二人で暮らしていた過去の思い出は、冗談でも裕福とは言えない貧乏生活。
普段から仲が悪く、あの日も喧嘩をしたまま家を出た。
何度考えてみても理由は思い出せないが、その日私が母親に吐いた酷い言葉とその時の彼女の顔は今でも忘れられない。
「お前なんか私の本当の母親じゃないくせに心配しているフリなんかするな。
誰のせいでこんな貧乏生活をさせられていると思っているんだ。
申し訳ないとは思わないのか!」
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