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プロローグ
「千春、あなたは短冊にどんなお願い事を書いたの?」
母は優しく私に問いかけた。
父がオールを漕ぎ、家族三人で水面に浮かぶ舟の上、毎年京都の福知山という街で行われるお盆の夏祭りに来ている。
「んーとね、人気作家になれますように…って」
私は夢を叶えるためのお願い事を母に話した。
「千春ならなれるわ。
あなたには文才があるもの。
自分の才能を信じなさい…。
それにこのお祭りはお願い事を叶えられるので有名なのよ」
私は母の膝に座り、両親と短冊の付いたスカイランタンを飛ばす。
「母さんは何て書いたの?」
その後、母は何とこたえたのか覚えていない。
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