2007年 春

16/18
前へ
/512ページ
次へ
 音大は偏差値で選ぶことができない。  一応、国語数学英語の学科試験も受ける必要はあって、偏差値は設定されているものの、学科の試験は簡単すぎる。  国語に古文漢文はなくて現代文しか出題されないし、数学と英語も、受験準備はほぼ不要と考えて問題なさそうなレベルを感じた。  英語は、英検準2級くらいのレベルだったか……もう少し簡単だったかもしれない。  国公立の藝大受験はセンター試験もあるみたいだけど、私大だったらセンター試験も必要ない。  国橋音大は私立の大(私大)学だから、私はセンター試験とは縁ができずじまいだった。  音大にとって学科の偏差値はお飾りでしかないし、音大を選ぶ参考にはならない。  音大は基本、勉強で選考されることはない。  実技試験のレベルと、ソルフェージュで見られている。  受験する音大の進路方針は、受験指導する先生が生徒のレベルを考えて決める。  私は初めから藝大を受けたりしなかった。    受験指導を受けた岸久保(きしくぼ)先生から見た私は、国橋音大なら受かるし藝大は厳しいのだから、その見立てに従うまでだった。  国橋音大(国音)では、今年度から博士後期課程が新設されたらしい。  渡瀬(わたらせ)先輩が東京藝術大(藝大)学でもともと師事していた吉井(よしい)先生が、博士後期課程の新設にあわせて国橋音大で教え始める。  だから渡瀬先輩は吉井先生についてきて、国橋音大の博士後期過程に入学することにしたという。今本先生には2人目の先生として師事するらしい。  博士後期課程のピアノ専攻は、2人の先生にピアノを師事する仕組みだということが伝わってきた。副担任みたいな感じだろうか、と思った。
/512ページ

最初のコメントを投稿しよう!

145人が本棚に入れています
本棚に追加