幼馴染

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「その彼氏さんは、何してるひとなんですか?」 「ん? 歌。私とおんなじ」 「歌同士で……」 「うん、うちは親が弁護士でね。生活はあんまり心配いらないから」 「……それはいいですね」 「れいちゃん()はそういうのないの?」 「うちは普通にサラリーマン家庭で、全然ないんですよね……」 「そっかぁ。そーいや渡瀬君とこも、普通のサラリーマン家庭だったな……おうちも普通のマンションだしね。でさ、話し戻るけど、れいちゃんも申請して助成受けて、渡瀬君が行くのに合わせてウィーンで研修受けてみれば? 三年の夏とか?」  私もウィーンに研修を受けに行く……  考えたこともなかった宮下さんの提案に、何と言ったらいいのか……一瞬、思考回路が止まった。  でも、できなくはない。三年の夏。行ってみてもいいかもしれない。  宮下さんはなんでこんなに私に良くしてくれるんだろう。よく分からないけれど、明らかに私を応援してくれている。  何だろう、この安心感。宮下さんと話しているとすごく楽しい。包容力があるひとなんだろうな……  その日の放課後、教務課と同じ棟にある学生支援課へ行き、研修助成制度の資料を入手し、帰宅してから目を通してみた。  日程を計画して申請し、諸々(もろもろ)の書類を都度、提出する手続きのようだ。  三年の夏休みで、ウィーンに行ってみようかな……それもありかもな、と考えると何だかうきうきした。
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