教養と選択科目

5/10
前へ
/512ページ
次へ
 もう一つのキーボードハーモニーは、クラシック畑にどっぷり浸かった樋口先生とは全然違って、ポップス業界のにおいを強く感じさせる大前(おおまえ)先生が教える講義だった。  大前先生は樋口先生とは対照的で、男性だけど小洒落た雰囲気だった。  茶髪と鼈甲(べっこう)眼鏡、ブラウン系の服装も高価に見えて洒落ていた。品よく落ち着きのある口調もお洒落なイメージを際立てている。  40代半ばくらいに見えるけど若々しい。(にじ)み出る余裕に若さを感じた。  大前先生の講義はポップス畑の先生らしく、教室からして机替わりにエレクトーンが置かれていて、学生は全員エレクトーンの前に着席した。受講生の人数は少なめで、20人はいかないくらいだったと思う。
/512ページ

最初のコメントを投稿しよう!

145人が本棚に入れています
本棚に追加