教養と選択科目

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 素朴な循環コードで、一定の和声(コード)進行を繰り返しつつ展開させた、一分くらいの曲。当時好きだった同級生から歌詞を渡されて、曲をつけてほしいとお願いされて作った曲だった。  本来は歌の曲だけど弾き語りする勇気は出なくて、メロディーも一緒にエレクトーンで弾いた。  大前先生は作中の循環コードを指摘され、ポップスらしい定番のコード進行だと(おっしゃ)った。(つたな)い曲を暖かく受け止められて、私はホッと胸を撫で下ろした。  大前先生がキーボードハーモニーで教える内容は伴奏付けがメインだった。  別の調から和音を借りる借用和音を駆使しつつ、リズムも細やかに工夫し、メロディーに対して可能な限り洒落た伴奏をつけることを実践的に教わった。  キーボードハーモニーの樋口先生と大前先生は、どちらも非常勤講師だった。  樋口先生は複数の大学を掛け持ちで教えておられるようだった。  大前先生は編曲の仕事を学外でされている様子が、講義中の小話からうかがえた。  国橋音大での役職は芸術Cの先生も非常勤講師で、文学Aの先生は教授だった。ちなみにピアノを師事する今本先生は、大学院教授だった。
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