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「河北さん、大丈夫ですか?」
「うん、おしりはまだへんな感じだけど」
利久の手がおしりに触れて優しく撫でる。
「労わっているの?」
「はい。俺のを受け入れてくれてありがとうございます」
少し怪しい動きをはじめたので手の甲を抓ったら離れた。
「利久君、今日はおしまい。後で一緒にお風呂に入ろうね」
「ぜひ!」
今、見えない耳が立った気がする。
「どうしてだろう、恋人とお風呂に入るのって特別な気分になるよね」
互いの裸を見せあったというのに、風呂では別の色気を感じたりする。
「濡れて頬が火照るから、でしょうか」
「確かにあれはいやらしい気持ちになるかも」
向き合いながら肌に触れ浴びるシャワー。そんな妄想をしている自分に照れて頬が熱くなる。
「河北さん、何か想像しました?」
「やだなぁ、してないよ」
鋭いなと思いつつ、きっと顔が赤いからそれを見せないように利久に背を向けた。
すると利久が後ろから抱きしめてきて耳のあたりに顔をうずめた。
「河北さんが考えていたこと、お風呂でしましょうね」
そう言われて肩が揺れた。
「もうおじさんには無理だよぉ」
「ふ、えっちなことを考えていたんですね。嬉しいな」
「あ!」
言わされた。
利久にしてやられて彼の方へと向きなおれば、嬉しそうに笑っている。
「利久君」
「俺、幸せです」
「そうだね。奥さんを亡くして恋愛をすることはないだろうと思っていたけれど、利久君と共にいる未来が楽しみだよ」
利久が河北のことをあきらめなかったから。その一途な思いが変えたのだ。
「俺も楽しみです」
「ありがとう利久君」
手が触れて結ばれる。これから先もずっと……。
<おしまい♡>
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