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がらんとした教室に一人、静かに空を見上げる少年がいた。その少年はひどく物憂げで、そして悲しげな表情をしており、頬には幾筋もの乾いた涙のあとがあった。
すると、教室のドアが大きな音をたてて開き、そこから少年の担任が入ってくる。
「おい川本。みんなと別れるのが辛いのはわかるが、卒業式抜け出すのは駄目だと思うぞ」
担任が少年に言う。
「先生」
少年が担任の方を見る。
「確かに、みんなとの別れも辛いんすけど、それじゃないです」
「じゃあ、何でそんなに悲しそうな顔をしているんだ」
担任が尋ねると少年は、
「だって、クラスメイト全員の前で好きな子に告白して、挙げ句こっぴどく振られたんすよ!?もう戻れないですよ!」
と叫んだ。
とある高校の卒業式で起きた一幕である。
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