憂鬱な黒猫を知りませんか?

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「私、張り込んでみようかな。この公園」 「やめた方がいいよ。そこ変質者が出るって看板あったし」 「ウソ、そうなの?」 「マジマジ」 「何で知ってるの?」 「え?」  気がつくと、莉央がじっとりとした目で俺を見ていた。 「ずいぶん詳しいんだね。この公園、羽佐間くんちの近くなの?」  (いにしえ)の言葉を言おう。 ギクッ!((((;゚Д゚)))))))  正直に言えばその通りだ。  この公園は俺んちのすぐそばにある。潤は有名になる前、そこで何本か歌を自撮りしたと言っていた。  しかし、公園の遊具は映らないように慎重に場所を選んだと言っていたのに、莉央の洞察力は凄すぎる。これが信者のパワーというやつか。 「たまたま、チラッと見ただけだよ……」 「すごい記憶力だね。たまたま見かけた公園の看板に何が書かれてあったか覚えているなんて」  疑いながら可愛い顔で俺の目を覗き込まないで! 耳が熱くなる!  知らないフリも限界に来たと思われた、その時だった。 「羽佐間くん。今日、一緒に帰ろうか」  莉央がニコッと笑いながら言った。 「その公園、見たくなっちゃった。案内してよ」  聖地巡礼ってやつですか。  信者のフットワークは羽毛より軽い。  許せよ、潤。  あんたの愛する弟に、好きな女の子と初デートできるチャンスが到来してしまったんだ。  俺は心の中で、愛する兄上にそっと手を合わせた。
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