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今日は二つの商店街を巡る予定だ。
ひとつ目の商店街は、昔ながらの商店街だが、商店街を抜けると神社があり、参拝客を見越したお店が立ち並んでいた。
「シャッターが閉まっているお店が少ない。嬉しくなってしまいますね」
井手は早速、写真を撮りだした。
「お正月やお祭りには、参拝客で賑わうからかな?わりと食べ物屋さんが多いですね」
山崎が指差したのは老舗の蕎麦屋、丸山先生も小さなカフェを覗いている。
パン屋もあり、タピオカドリンクのお店に若者が並んでいる。
横道にそれると、布団屋があった。
居酒屋も何軒かあるようだ。
「あそこは何でしょうか?」
若い女性が出たり入ったり、かなり賑わっていた。
『ニャン吉のお家』
「ウワッ、猫グッズがいっぱいですね!」
「僕らは入りにくいな~、勇太、リサーチ頼む」
「何で俺?」
まぁまぁまぁと丸め込まれ、丸山先生と一緒に入ってみれば、猫耳の店員が近寄って来た。
「いらっしゃいませ~、ごゆっくりどうぞ〜」
「あ、ああ、あのっ!このお店って、昔から猫の……」
「違うと思いますよ~。前はね、鞄とかのお店だったみたい」
ニャン!と、聞こえてきそうなポーズをキメた店員さんは、カウンターに戻って行った。
「猫耳の店員だった……薔薇ババア達が好きそう……」
「このことは黙っておきましょう。マーメイドカフェの衣装が、恐ろしい事になりそうだから」
漢達は猫グッズのお店を封印する事にした。
地元の商店街とは違って、コロッケや惣菜を売るお店はなかった。
和菓子屋と、お豆腐専門店。
珍しい所では、小さな本屋さんがあり、販売だけでなく貸本までやっていた。
「勇太は知らないでしょうねー、僕達は貸本にはお世話になったなぁ」
「青春時代ですね。きっと、買ったりもしていたはずなのに、貸本の思い出の方が強く残っている」
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