美しくあれ#lily

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夕方まで、勇太と漢達は食べに食べまくった。 普段は、クレープの行列になど恥ずかしくて並べない。 けれども今日は、ノリとイキオイと同志がいる。 「いやぁ〜チョコをトッピングしてしまいました」 誇らしげにバナナクレープチョコトッピングを見せる山崎に、シャインマスカットと生クリームの季節限定クレープを頬張る井手。 高田はカスタード増し増しで、勇太と殿じいは増しすぎて何のクレープかわからない。 「でも、肝心のパンケーキは食べられませんでしたね……」 カフェはあったが少しレトロで、パンケーキなどはメニューになかったのだ。 叱られるぞ、漢達。 「でもよ~、何で薔薇ババア達はパンケーキなんだよ。もっと、こう……変わったお店にするのかと思ってたのに」 勇太がクリームに悪戦苦闘しながら、不思議がる薔薇乙女達のパンケーキ。 「勇太は知らないからなぁ~昨年の薔薇クラスを。彼女達は、最後の2時間に爆発させるのですよ〜」 「何を爆発させるんだよ?」 「彼女達の感謝の気持ち……とでも言っておきましょうか。楽しみですね、山崎先生」 山崎も笑いながら頷いている。 「勇太君、だから竜宮城の店員をよろしく!」 「やだよ、山崎先生……あんな事出来る奴なんていねーよ……」 薔薇乙女達はいったい何を企んでいるのか、それはすぐにわかってしまう。 ホラー──いや、ほら、足音が聞こえて来ている。 そんな事も知らされていない漢達、商店街巡りを堪能し、それぞれ帰途についた。 「楽しかったですね〜勇太」 「まぁまぁな……漢組はみんないい奴だから」 星がチラチラ瞬く田舎道を、勇太と丸山先生はゆっくり歩く。 随分と顔色が良くなり、健康的になってきた勇太の横顔に、丸山先生の口元が綻ぶ。 ──いい顔しています。もっと……もっとだ勇太。
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