18人が本棚に入れています
本棚に追加
夕方まで、勇太と漢達は食べに食べまくった。
普段は、クレープの行列になど恥ずかしくて並べない。
けれども今日は、ノリとイキオイと同志がいる。
「いやぁ〜チョコをトッピングしてしまいました」
誇らしげにバナナクレープチョコトッピングを見せる山崎に、シャインマスカットと生クリームの季節限定クレープを頬張る井手。
高田はカスタード増し増しで、勇太と殿じいは増しすぎて何のクレープかわからない。
「でも、肝心のパンケーキは食べられませんでしたね……」
カフェはあったが少しレトロで、パンケーキなどはメニューになかったのだ。
叱られるぞ、漢達。
「でもよ~、何で薔薇ババア達はパンケーキなんだよ。もっと、こう……変わったお店にするのかと思ってたのに」
勇太がクリームに悪戦苦闘しながら、不思議がる薔薇乙女達のパンケーキ。
「勇太は知らないからなぁ~昨年の薔薇クラスを。彼女達は、最後の2時間に爆発させるのですよ〜」
「何を爆発させるんだよ?」
「彼女達の感謝の気持ち……とでも言っておきましょうか。楽しみですね、山崎先生」
山崎も笑いながら頷いている。
「勇太君、だから竜宮城の店員をよろしく!」
「やだよ、山崎先生……あんな事出来る奴なんていねーよ……」
薔薇乙女達はいったい何を企んでいるのか、それはすぐにわかってしまう。
ホラー──いや、ほら、足音が聞こえて来ている。
そんな事も知らされていない漢達、商店街巡りを堪能し、それぞれ帰途についた。
「楽しかったですね〜勇太」
「まぁまぁな……漢組はみんないい奴だから」
星がチラチラ瞬く田舎道を、勇太と丸山先生はゆっくり歩く。
随分と顔色が良くなり、健康的になってきた勇太の横顔に、丸山先生の口元が綻ぶ。
──いい顔しています。もっと……もっとだ勇太。
最初のコメントを投稿しよう!