唇に愛を#lip

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上機嫌でガッハハ、ガッハハと馬鹿笑いしているのは、教育委員会教育長若松ガマガエルだ。 コバンザメの竹田と水田を呼び付け、姥桜学園祭の出し物を考えている。 「カジノだ、カジノ!IR誘致にちなんでカジノをブチかましてやろう!ガッハハー」 「教育長、教育に携わる人間がカジノ……教育委員会の評判はガタ落ちになりますよ?」 「なにぃー!?そうか、そうか。ならば、ショットバーで行こう!」 竹田と水田はもう飽きていた。 若松が考えるのは大抵下品で、学園祭にはそぐわない。 こんな不毛なやり取りの繰り返しにはイライラしているのだ。 「若松教育長!!大変です、クレーマーが大挙してこの部屋に──」 知らせにきたひ弱そうな事務員を突き飛ばし、ドカドカと部屋に入ってきたのは薔薇乙女達だ。 「ゲッ!くっさー!糖分と塩分の過剰な匂いしかしないじゃん」 「どいて、どいてー竹田と水田!……水田?あんたヤバいんじゃないの?そのゼイ肉!」 薔薇乙女の後から、遠慮しながら入って来る漢達。 「こらぁー!勝手に入るな、薔薇クラスめ!」 「ほざけっ、ガマガエル!あんた、学祭の出し物がまだ決まってないらしいわね?ふざけんなっ!もう締め切られたのよ、新しく出店する店は!」 「な、な、なにぃ!待て、決まってるぞ。なぁ、竹田!」 竹田は知らんぷりを決め込んでいる。 「ったく……グスグスしてるから!仕方ないわね……私達の出し物に入れてあげてもいいけどぉ?どうするぅ?」 竹田と水田が抗議しようとするのを、漢達がガッチリと抑え込んだ。 ──いけないっ!教育長!罠だ、絶対に罠だ!フガフガー。 「ん?なんだ、ワシの偉大な力を借りたいのか?ガッハハーいいぞ、素直じゃないかガッハハ」 「じゃ、ここにサインして」 若松教育長は上機嫌で名前を書き、立派なハンコまで押した。
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